前回の続きです。
登場人物については、
・PartⅠベネット家
・PartⅡダーシー/ビングリー /ウイッカム他(この記事)
・PartⅢその他の登場人物
のように分けて書いています。
また、2005年の映画『プライドと偏見』の概要・感想はコチラです。
今回の 詳しい登場人物の PartⅡ は、ダーシー/ビングリー /ウイッカム他です。
※2005年公開の映画 からだけでなく、新潮文庫の「自負と偏見」も参考に
まとめています。
≪ダーシー家≫
ダービシャーにあるペンバリーのお屋敷に住んでいる。
【ミスター・ダーシー】(イギリスの俳優 マシュー・マクファディン)
ミスター・ダーシーの両親はすでに他界。
亡くなったお父さんは伯爵だった。
映画の中では ペンバリーのお屋敷のお庭が映し出されますが、ベルサイユ宮殿の庭のような、とても広大なお庭です。
お屋敷内には、ダーシー本人や先代当主の彫像もおいてあり、まるで美術館のよう。
ミスター・ダーシーは、領主としての仕事もあるため年の半分ほどしか住んでおらず忙しくしている。
エリザベスはダーシーに対しての第一印象が良くないので、彼のことを傲慢な性格だと信じていたが、領地に住んでいる人から好かれ尊敬もされていることを、 女中頭のミセス・レイノルズから聞かされる。
=新潮社「自負と偏見」の16~17ページ=
「背の高い堂々とした風采、立派な顔立ち、気品ある物腰」と評判は良かったが、舞踏会での態度により評判はガタ落ち。
「ひどく尊大な」「こんなにお高くとまった不愉快な表情」
【ミス・ダーシー (ジョージアナ・ダーシー)】(イギリスの女優 タムジン・マーチャント)
ミスター・ダーシーの年が離れている妹で、ピアノの練習を一生懸命している。
兄のミスター・ダーシーのことが大好き。
ただ、ウイッカムにそそのかされて駆け落ち寸前だったが未然にダーシーが止めたという過去がある。
映画の中では、その出来事が近い過去で年齢は15歳の時のことだったと話しているため、映画の中では16歳ぐらい。
※参考※
ジョージアナ役のタムジン・マーチャントは、女優のほかに脚本家・ディレクターです。
≪ド・バーグ家≫
ケント州のロージングズ・パークに住んでいる資産家。
【レディ・キャサリン・ド・バーグ】(イギリスの女優 ジュディ・デンチ)
ミスター・ダーシーの叔母で、コリンズ(PartⅢに出てきます)の後見人。
ロージンズに住み、莫大な土地と財産を所有している。
いかなるときも自分が中心にいないと気が済まない性格で、自分の娘のミス・ド・バーグを従兄のミスター・ダーシーと結婚させようと考えている。
レディ・キャサリンは夫亡き後、財産を引き継いでいる。
※参考※
当時のイギリスでは、当主は相続した財産をそのまま次の代に残す「限嗣相続」が基本。
ベネット家には男子相続人がいないため、もしもミスター・ベネットが亡くなった場合、妻や娘たちにいくらかの財産はもらえるが、住んでいる家も土地などの財産は手放す必要があった。
【ミス・ド・バーグ】(ロザマンド・ステファン)
母親のレディ・キャサリンの娘。
性格は母親とは真逆でおとなしく病弱。
=新潮社「自負と偏見」の110~111ページ=
「真の美しさという点にかけては、世の中のどんな美女も及ぶところではないとね。」
「あのお顔立ちを拝見すれば深窓(※1)の令嬢だと一目でわかります」
「残念なことに蒲柳の質(※2)でいらっしゃるのですが」
「あのチャーミングなお嬢さまは生まれながらに侯爵夫人の基本をそなえていらっしゃる」
すべて、ミスターコリンズの言葉。
コリンズは相手を喜ばせるため、過度な表現を使うのでその点にはご注意を。
深窓(※1)
家の奥深い部屋の窓。家の奥深い所。多く、上流階級の女性の、世俗から隔離された環境をいう。「深窓の令嬢」(goo辞書)
蒲柳の質(※2)
からだが弱く病気にかかりやすい体質。(goo辞書)
≪その他ダーシー家と関りのある登場人物≫
【ミスター・ウィッカム(ジョージ・ウィッカム)】(イギリスの俳優 ルパート・フレンド)
ブライトンに駐留する軍隊の青年士官で、人に好意印象を与えるイケメン。
エリザベスが淡い恋心をいだく相手で、ウィッカムもエリザベスのことを気に留めていた。
ミスター・ウィッカムの父親は、ダーシー父親の事務弁護士だったため、幼少の頃より、ミスター・ダーシーと共に遊んだ仲でダーシーの父親にも可愛がられててたが、ダーシーの父親の死後、二人の関係は変化する。
エリザベスがミスター・ダーシーへの嫌悪感をさらに募らせた理由の一つにはウィカムの作り話。
ウィカムが さも自分が被害者のようなことを周りに吹聴してダーシーを悪者にしていたのだった。
※参考※
映画にはなかったが、ウィッカムが資産のある令嬢と結婚するという話が小説には描かれていた。結局その婚約破棄となる。
【フィッツウィリアム大佐】(コーネリアス・ブース)
ダーシーの従兄弟で、キャサリン夫人の甥に当たる人物。
ダーシーと共にロージンズに滞在している時にエリザベスと会う。
ビングリーがジェーンの元から去った理由を、お相手の女性の妹とは知らずにエリザベスに教えてしまう。
=新潮社「自負と偏見」の272~273ページ=
「レディ・キャサリンの甥が二人いた。ミスター・ダーシーが、伯父の××伯爵の次男でフッツウィリアム大佐という人を連れてきていた」
「フッツウィリアム大佐は三十前後で、美男ではなかったが、風貌も話しぶりも紳士そのものだった。」
≪ビングリー家≫
ハーフォードシャーにあるネザフィールド・パークを借りている。
【ミスター・ビングリー(チャールズ・ビングリー)】(イギリスの俳優 サイモン・ウッズ)
ネザフィールド・パークを借りようと引っ越してきた独身の資産家。
(ピングリーはお金持ちだが、屋敷をもっていないため、屋敷を借りるための契約という言葉が出てくる。)
ベネット家のジェインに一目ぼれをして想いを寄せている。
性格的には、純粋で、ジェインと同じように穏やか。
ミスター・ダーシーは、ジェインとエリザベス以外の、ベネット家のママであるミセスベネットや父親のミスターベネット、そして他の妹たちの素行を快く思っていないが、ピングリーはそういうことは気にしていない。
ただ、ミスター・ビングリーには、芯が一本通っていないところがあるため、親友のダーシーの言葉を鵜呑みにしたり、ダーシーの考えに従ってしまう。
ダーシーほどの金持ちではないが、ピングリーのお父さんがビジネスで財をなし、お金持ちになったという設定。
=新潮社「自負と偏見」の6ページ=
「北の方から来たお金持ちの若い人」
=新潮社「自負と偏見」の15~17ページ=
「大変若く目の覚めるような美男」「人あたりも申し分ない」「振る舞いも紳士らしい」「感じのいい顔つき」「気取りのない物腰」「元気に構えたところがない」
※参考※
小説の中では、ミスター・ベネットがミスター・ビングリーを訪問したあとに、ミスター・ビングリーが返礼というかたちでベネット家を訪れています。(映画ではこの場面はありません)
舞踏家の前に、ベネット家の姉妹は美人ぞろいということもあって期待して来たようですが、ミスター・ビングリーは娘たちを舞踏会の前には会わせてはいませんでした。(これもひとつの作戦ですね。)
本からは、ミスター・ビングリーは美人好みと書いてあったので、ちょっとがっかりしますが、その気持ちもわからなくはないです(笑)
【ミス・ピングリー(キャロライン・ビングリー)】(イギリスの女優 ケリー・ライリー)
キャロライン・ビングリーは、ミスター・ビングリー(チャールズ・ビングリー)の妹。
ジェインのことを友達と言いながらながらも、兄のピングリーとの仲を引き裂きさこうと企んでいる。
ジェインに対して、暗に兄はミス・ダーシーのことを好きだということなどを手紙に綴り、ジェインを悲しませる。
ミス・ピングリー自身はミスター・ダーシーに想いを寄せている。
表面的には良い人を装っているが、心の中はその裏腹。
※参考※
映画には登場しませんが、小説では、ミスター・ハーストとミセス・ハースト(ルイーズ・ハースト)が登場します。
ミセス・ハーストはミスター・ピングリーのお姉さんで、ミスター・ハーストはミセス・ハートの旦那さん。
映画の中で舞踏会に来たのは、ミスター・ピングリーとミスター・ダーシーとミス・ビングリーの3人だけでしたが、小説の中では、この3人のほかに、ハースト夫妻とミスター・ビングリーのもう一人の妹も一緒に来ていることになっています。
※ TVドラマシリーズ 名探偵ポワロ「杉の柩(ひつぎ)」(2003年作成)のメアリ・ジェラード役でも登場。
次回は、PartⅢ その他の主要な登場人物です。