⑬映画『マダムフローレンス! 夢見るふたり』と『偉大なるマルグリット』の2作品の<ふたり>の関係性

伝説のソプラノ歌手 フローレンス・フォスター・ジェンキンスを主人公にした映画には、「マダム フローレンス!夢見るふたり」と「偉大なるマルグリット」があります。

最初に見たのが2015年に公開された「偉大なるマルグリット」(原題 Marguerite)でした。

 

 

■映画 「偉大なるマルグリット」について

こちらの、 「偉大なるマルグリット」 の舞台は、1920年のフランス。
主人公の女性は、 タイトルの通り マルグリット で、夫は マルグリット・デュモン男爵。

マルグリットをフランスの女優 カトリーヌ・フロが演じています。

「マダム フローレンス!夢見るふたり」 では、N.Y.を舞台にしていますが、
こちらの「偉大なるマルグリット」 の舞台は、フランス郊外。
映画の言語はフランス語です。

■2本の映画の<ふたり>の関係性について

「偉大なるマルグリット」の映画の中でのふたりは夫婦。
表面的には妻であるマルグリットに対して「愛している」とは言っているものの夫には愛人がいる。


リサイタルを開くとあれば、「マダム フローレンス!夢見るふたり」のシンクレアのように積極的に応援することはなく、わざとリサイタルに遅れる夫のマルグリット・デュモン男爵。
こういう部分でも違った人物像として描かれている。


「マダム フローレンス!夢見るふたり」では、人前でも相手のことを「夫」とか「妻」とかは言いはしているが、実は正式には夫婦ではない。


マダム フローレンス ⇒ フローレンス・フォスター・ジェンキンス

シンクレア      ⇒ シンクレア・ベイフィールド

という二人の名前からもそれは明らか。


それでも、精神的な深い絆で結ばれていることが映画「マダム フローレンス!夢見るふたり」を通じてひしひしと伝わってくる。

が、「マダム フローレンス!夢見るふたり」の映画の中で、フローレンスが梅毒のため、夫婦生活をひかえていて、マダムが眠るとシンクレア(ヒュー・グラント)は別の家に帰宅し、そこには、キャサリーン(レベッカ・ファーガソン)という女性と暮らしていてちょっと複雑。

※レベッカ・ファーガソンもとっても美人で、個人的にも注目しています。


シンクレアは、コズメ(サイモン・ヘルバーク)に、マダム フローレンスはキャサリンの存在を知っていて理解している とは言うもののマダムの突然来訪したときに、にキャサリンに隠れるようにと伝えている。

あれほどまでにマダム フローレンスに尽くしているシンクレアの言葉は、どこまで本当のことを人に話し、本心で行動しているのかなと思わせる。

「シンクレアの本心はどこに?」
「なぜ、そこまで マダム フローレンスを応援するのか?」 
「やっぱりマダムのお金目当て?」などと、映画の途中で心穏やかでなくなります。


それにしても、シンクレアの立ち回り方がとても巧みで、相手を気持ちよくさせながら、周りをどんどん巻き込んでいくというところもなかなか見もの。

これもシンクレアの才能のように感じます。

 

(参考)
映画「マダム フローレンス!夢見るふたり」
(原題:Florence Foster Jenkins)
登場人物はコチラ
あらすじ前半後半 

 

■映画の主人公の描き方

「マダム フローレンス!夢見るふたり」の映画の最後では、 自分の歌に対して批判的な新聞を読み自分が音痴ということを知り、ショックのあまり倒れてしまう。

けれども、死に際でも、フローレンスは自分がみんなから拍手喝采を浴びた場面を思いだあしながら目を閉じていく。

2015年のフランス映画「偉大なるマルグリット」では、自分の下手さをレコードを通して知り、ショックを受けてそのまま亡くなるようなストーリー。


そのため、それぞれの映画を見終わったときの気持ちが違います。

二つの映画は、どちらもよかったけれど個人的には「マダム フローレンス!夢見るふたり」のほうが見終わったあと心地がよい。

「偉大なるマルグリット」では主人公を悲劇の歌姫として扱っていて、同じ人物を扱うにしても、このように違ったとらえ方をしています。

映画を観終わったあとに、ひとりあれこれ想いを巡らせるのも楽しい二本の映画です。


ちなみに、「偉大なるマルグリット」では、マルグリットの夫は、マルグリットの秘書と不倫関係にありましたが、その秘書はマルグリットのことを思いやっているところも描かれていました。

実在したFlorence Foster Jenkinsの性格自体も、女性から見ても憎めない、魅力的な人で、普段から面倒見がよく、愛を振りまくような人だったのかもしれません。

Florence Foster Jenkis